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クランプトレーザー法とは
八王子クリニック独自の日帰り手術

目次

「痔の手術はつらい」「痛みや入院が不安」そう感じて、治療をためらっていませんか。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、これまでの痔核治療の歴史を踏まえながら、患者様の負担をできる限り少なくすることを追求して開発された手術法です。

長年の知見と最新のレーザー技術そして硬化療法(ジオン注射)を融合させたこの治療法について、ぜひこのページで詳しくご覧ください。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)の3つの特徴

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、八王子クリニックで30年以上の研究開発を経て確立した、いぼ痔(内痔核)の日帰り手術法です。商標登録も済んだ正式な手術名であり、以下の3つの大きな特徴があります。

1. 最初から日帰り手術のために開発された

多くの手術法は、もともと入院手術として発展してきたものを、結果的に日帰りでも行っているという位置づけです。

しかし、クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は違います。「日帰りで安全に帰宅できること」「翌日から普通に動いていい」ということを最初からゴールにして、そこから逆算して設計されました。

日帰りのために解決した2つの課題

術後の痛みをゼロに近づける

傷を小さくすることで組織損傷を抑え、痛みを減らします。

安静にしなくても出血しない

深部(直腸側)にメスを入れず注射療法で対応し、翌日から動ける状態を実現。

結果として、99.7%の患者様が翌日から仕事復帰を実現しています。

2. 従来の手術とは根本的に発想が違う

従来の痔核手術の考え方

一般的手術の切除範囲

「静脈の塊(痔核)をブロックごと丸ごと切除する」
そのため、傷も大きくなりやすく、痛みや出血のリスクが高いという課題がありました。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)の考え方

「粘膜の下にある病変を、小さな傷から中身だけくり抜く」
外から大きく切り取るのではなく、小切開から粘膜下を掃除するように病変を取り除きます。その結果、皮膚・粘膜の傷が小さく、出血リスクが下がり、痛みも少なくできます。

3. 手術翌日には傷がほぼ閉じている

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)では、手術翌日には傷がほぼ閉じているケースが多く見られます。

従来の一般的な手術では、傷の開きが完全に落ち着くまでに3ヶ月くらいかかるケースも珍しくありません。この回復の早さは、小さな傷から必要最小限の処置を行うという設計思想によるものです。

現在の標準治療とその限界

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)をより深く理解していただくために、まず現在の痔核治療の標準的な方法とその課題についてご説明します。

標準的な治療法

現在、痔核治療の標準術式として確立されているのは、「結紮切除術」と「ジオン注射(ALTA硬化療法)」の2つです。

結紮切除術(ミリガン・モルガン法)

痔核への血流を遮断し確実に切除する方法で、現在も標準的な手術として広く行われています。

ジオン注射

粘膜下の痔核病変のみに作用する硬化療法として、体への負担が少ない治療法です。

これらの標準治療は確立された安全性と有効性を持つ一方で、「術後の痛み」「入院の必要性」「社会復帰までの時間」といった課題も残されていました。

低侵襲化への流れ

こうした課題を解決するため、治療効果を保ちながら身体への負担を減らす工夫が重ねられてきました。

PPH法

痔核自体を切るのではなく、直腸粘膜を環状に切除・吻合して脱出を吊り上げ、血流も相対的に減らす方法です。痔核を切除するのではなく、痔核の位置を戻す治療です。

ACL法(痔核釣り上げ術)

痔核の切除ではなく、痔核の血流(動脈流入)を減らし、肛門クッションを引き上げて脱出を戻す治療です。

ハイブリッド手術

ジオン注射と手術を組み合わせた方法で、標準治療を土台に改良を加えた方法です。

これらはいずれも、標準治療の課題を解決しようとする試みでした。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)の位置づけ

そして、その流れをさらに一歩進め、「日帰り手術を前提に設計された痔核手術」として開発されたのが、CO₂レーザーメスを用いた「クランプトレーザー法(スリーパーツ法)」です。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、粘膜下の痔核病変を主に取り除く新しい概念である「痔核郭清」に基づいており、痔核切除・痔核郭清・ジオン注射という3つの治療技術を組み合わせた手術です。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)の手術内容

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、3つの技術を組み合わせることで完成する痔核根治手術です。そのため、「超ハイブリッド手術」とも呼ばれています。

1. 痔核切除(CO₂レーザーメスによる切除)

痔核の腫れを繰り返すことで生じた過剰な皮膚・粘膜については、痔核の中心部とともに切除します。切除は、歯状線から肛門側約5mmの位置で行います。

2. 痔核郭清(アンダーマイニング手技)

その切除創から、アンダーマイニング手技を用いて、周囲に存在する痔核を丁寧に取り除きます。

痔核郭清とは何か

「郭清」という言葉は、通常はリンパ節郭清の文脈で使われ、「リンパ節を周囲ごと掃除してきれいにする」という意味です。クランプトレーザー法(スリーパーツ法)では、痔核周囲の粘膜下組織を掃除するように取り除くという「痔核郭清」の考え方を取り入れています。

一般的な肛門外科には「痔核郭清」という概念がほとんどありません。この概念こそが、クランプトレーザー法(スリーパーツ法)の本質であり、日帰り手術を可能にする鍵となっています。

この手技により、根治性が向上し、術後の腫れが軽微で痛みが軽減され、良好なドレナージと早期創傷治癒が両立し、肛門の自然な形態と機能が保たれるといった効果が得られます。

3. ジオン注射(硬化療法)

さらに、下部直腸に存在する内痔核については、ジオン注射を併用し、硬化・消退を促します。

この3つの技術を適切に組み合わせることで、侵襲を抑えた痔核根治手術が可能となります。ハイブリッド手術とは結紮切除術とジオン注射を併用する治療法で、超ハイブリッド手術とはこの方法をさらに進化させた術式を指します。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)の歴史——パークス法との関係

1958年の理想的な発想

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)には、60年以上前に遡る歴史的な背景があります。

1958年、天才外科医と称されたパークス(Parks)は、痔核を「皮膚・粘膜下層に存在する病変」と捉え、「皮膚や粘膜を共に切除するのではなく、皮膚粘膜下層に存在する痔核病変のみを確実に除去すればよい」という理想的な発想を提唱しました。

これは、痔核の本質を正確に捉えた、きわめて理想的な考え方でした。

なぜパークス法は普及しなかったのか

しかし、パークス法は概念としては正しかったものの、当時は十分な止血デバイス(医療機器)が存在しませんでした。

そのため、術中・術後の止血管理が極めて困難で、術者の技量による仕上がりのばらつきが大きく、パークス本人は実施できても他の外科医には汎用化できないという問題を抱えていました。

結果として、「理論的には優れているが、誰にでも行える手術ではない」と評価され、1938年に確立されたミリガン・モルガン法(高位結紮切除術)が、より現実的な選択肢として標準術式の地位を占めることとなりました。現在の日本の標準手術はミリガン・モルガン法変法:結紮切除(主に半閉鎖)です。

現代技術によってパークスの理想を実現

パークス法が提唱されてから約30年後、血流を遮断する「クランプ」という発想と、組織侵襲の少ないCO₂レーザーメスを組み合わせ、さらに当時存在しなかった硬化療法(ALTA:ジオン注射)を併用することで、安全性と汎用性を高めたクランプトレーザー法(スリーパーツ法)という新しい手術法を発案しました。

皮膚粘膜下層の剥離には一定の外科的技術を要しますが、CO₂レーザーという明確なデバイスと視覚的指標の存在により、この術式は比較的短期間(約半年程度)のトレーニングで習得可能です。

実際に、本術式は多くの医師に指導してきましたが、高度な熟練を要さず、術者間の仕上がりのばらつきも少ないという特徴があります。

これは、「パークスにはできたが、他の医師にはできなかった手術」という歴史的課題を、現代の技術によって克服したことを意味します。

自由診療という選択——制約なき医療が可能にしたクランプトレーザー法(スリーパーツ法)

保険診療と自由診療の本質的な違い

保険診療とは、国が定めたルールと制約の中で、許容される範囲内で最善を尽くす医療です。一方、自由診療とは、文字どおり制約に縛られることなく、目の前の病変に対して「良いと考えることのすべてを実行する医療」です。

一般に保険診療の対義語は「保険外診療」と表現されますが、当院ではあえて「自由診療」という言葉を用いています。それは、この医療形態が単なる保険適用外という意味ではなく、治療内容を制限せず、患者様にとって最善と思われる手段を自由に選択できる医療であると考えているからです。

自由診療に対する誤解と、その実態

自由診療では、時に「高額な手術を勧められた」といった批判的な意見が見受けられます。しかしながら、術後結果に対する不満や、経過不良に関する指摘がなされることはほとんどありません。

医療において、制約を外し、手間と時間をかけ、最善を尽くした結果の費用は必要です。それにより質の高い医療を継続的に提供することが可能となります。

自由診療を単純に金銭的側面のみで評価し、「金儲け主義」と断ずることは、医療の本質を見誤った短絡的な議論と言わざるを得ません。

「仕事を休ませない手術」という発想

当院がクランプトレーザー法(スリーパーツ法)を追求してきた中心的なコンセプトは、「術後に仕事を休まなくてよい手術を実現すること」です。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)では、翌日から通常の生活・労働を制限しません。ダンサーであれば踊ることができ、トラックドライバーであれば荷物の積み下ろしも可能です。

この「制限のない社会復帰」を実現するために、術後疼痛と術後出血の制御を最大の課題として取り組んできました。

日帰り手術を可能にした麻酔と技術の進歩

約30年前、仙骨硬膜外麻酔による肛門手術は「不可能」と考えられていた時代がありました。当時、著名な肛門科施設での見学においても、経験豊富な外科医が「仙骨硬膜外麻酔では手術はできない」と断言していました。

しかし現在では、仙骨硬膜外麻酔により十分な鎮痛が得られ、安全な日帰り手術が可能となっています。これは、麻酔技術と手術手技、そして術後管理の進歩がもたらした結果です。

自由診療における責任と覚悟

自由診療で手術を行うということは、良いと思うことのすべてを行う責任を負うことでもあります。

手術には常に「万が一」が存在します。その備えとして、当院では手術を担当した医師自身が24時間365日、直接対応できる体制を取っています。これは医師としての責任であり、患者様に対する誠意です。

実際、現在では緊急対応を要する事例はほとんど見られなくなりましたが、術式確立の過程では、夜間に患者様を迎えに行き、緊急処置を行った経験も少なくありません。

こうした試行錯誤と経験の積み重ねの末に完成したのが、CO₂レーザーメスを用いた現在のクランプトレーザー法(スリーパーツ法)です。

自由診療という枠組みの中で、「目の前の肛門に対して、良いと思うことのすべてを行う」という哲学を貫いてきた結果として、本術式は日帰り手術として成熟し、現在では多くの患者様に受け入れられる治療法となっています。

学会発表で示された確かな実績

クランプトレーザー法(Clamped Laser Distal Hemorrhoidectomy = CLDH)は、2023年11月の日本大腸肛門病学会において、約1,500例の手術成績が報告・発表されています。

その成績は以下の通りです。

日帰り手術を前提とした治療として、非常に良好な結果が示されています。

費用についての考え方

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)の費用について

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、自由診療による日帰り手術です。そのため、健康保険は適用されず、費用は全額自己負担となります。

一方で、治療内容は画一的なものではなく、その方の病変の状態やご希望に合わせて、最も負担の少ない方法を選択して行います。痛みを抑える工夫や、回復を早めるための配慮も含まれています。

費用だけでない価値

「費用」だけを見ると高く感じられるかもしれませんが、入院の必要がなく、早く日常生活に戻れること、そして治療後のつらさをできるだけ減らすことまで含めて考えていただくと、ひとつの選択肢としてご理解いただける治療法です。

当院で手術を受けられる患者様のうち、約7割は健康保険の範囲内で手術を行っています。一方で、残りの約3割は自費による手術を選択されています。

注意点について

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、すべての方に万能な治療というわけではありません。

そのため、診察では「この治療が本当に合っているか」を丁寧に見極めることが大切です。無理に特定の治療を促すことはなく、状態に応じた最適な治療方法をご提案します。

他の治療法との違い

痔核の治療には、大きく分けていくつかの方法があります。

保険診療による手術

標準的な治療として広く行われており、信頼性が高い一方で、切除範囲が広くなりやすく、術後の痛みや入院が必要になることがあります。

硬化療法

身体への負担は比較的少ないものの、症状や病変のタイプによっては効果が十分でない場合もあります。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)

これらの治療の考え方を踏まえたうえで、「切りすぎない」「傷を最小限にする」ことを重視した治療法です。日帰りで行える点や、術後の負担を抑えたい方に適しています。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)を選ぶということ

痔の治療に「これが絶対に正しい」という答えはありません。大切なのは、ご自身の症状・生活環境・不安に合った治療を選ぶことです。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、「できるだけ楽に治したい」「早く普段の生活に戻りたい」——そんな思いを持つ方のための、ひとつの選択肢です。

痔核手術の未来

手術の低侵襲化が進むことで、痔核手術は「入院して行う手術」から「日帰りで行う手術」へと大きく変わりつつあります。

かつて白内障手術が入院治療から日帰り治療へと移行したように、痔核手術も、クランプトレーザー法をはじめとする低侵襲手術が標準となる時代を迎える可能性があります。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、痔核の本質を正しく捉えた基本概念、低侵襲で安全性の高い手術デバイス、高い再現性と汎用性、日帰り手術を可能とし翌日から仕事制限を要しない術後QOLを兼ね備えています。

これらの点から、クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、今後の痔核手術における標準術式となるべき素因を十分に有していると考えます。

30年の歩み——開発医師としての考え・治療への想い

私は長年、肛門疾患の治療に携わる中で、患者様が痛みや不安で治療をためらう姿を多く見てきました。痔の治療は「治すこと」だけでなく、患者様の生活や心身への負担をできるだけ軽くすることも大切です。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、

という考えのもと開発されました。

「痛みが少なく、安心して受けられる手術」を実現することで、患者様の生活の質を守りたい—それが私たちの思いです。

よくある質問

なぜ痛みが少ないのか

痔の手術が「つらい」「痛い」と言われてきた大きな理由は、切る範囲が広く、傷が大きくなりやすかったことにあります。

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)では、必要以上に切らず、レーザーを用いて病変だけを丁寧に治療します。周囲の正常な組織へのダメージを最小限に抑えることで、術後の痛みや腫れをできるだけ少なくすることを目指しています。

「治すこと」だけでなく、治療後のつらさを減らすことを大切にした手術法です。

保険診療との違いについて

保険診療の手術は、全国どこでも同じ治療を受けられるよう、方法や使用できる医療行為に一定の決まりがあります。限られた条件の中で行う、標準的な治療と言えます。

一方、クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は自由診療です。そのため、保険の枠にとらわれず、その方の病状や生活背景に合わせて、より負担の少ない治療方法を選択することができます。

「できることすべてを使って、よりやさしい治療を行う」——それが自由診療という考え方です。

どんな人に向いている治療か

クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、次のような人に特に適しています。

「治療は必要だとわかっているけれど、不安が先に立ってしまう」——そんな方にこそ知っていただきたい治療法です。