当院の低侵襲手術における特徴
- CO2レーザーメスと独自技術により組織損傷を最小限に抑制
- 独自の麻酔法で麻酔薬の量を通常の半分に削減
- 術後翌日から肉体労働を含めて仕事制限なし
- 複雑な病変にも対応できる高度な技術力
日帰り手術を可能にする低侵襲手術について
肛門疾患に対する外科的治療は、従来は入院での治療が一般的でした。しかし当院では、身体への負担を徹底的に抑えた手術技術と術後の管理体制により、進行した症例を含め日帰りで手術を行っています。
「低侵襲手術」とは、身体への負担を最小限に抑えた手術のことです。当院では、複数の独自技術を組み合わせることで、痛みや出血量が少なく、手術時間が短い手術を実現しています。
低侵襲手術の指標
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 術後の痛みが少ない | 傷が小さく、組織損傷が少ないため、術後の痛みを大幅に軽減できます。 |
| 出血量が少ない | 止血効果の高いCO2レーザーメスを使用することで、術中・術後の出血を最小限に抑えます。 |
| 手術時間が短い | 精密な操作が可能なレーザーメスにより、複雑な病変にも容易に対応でき、手術時間を短縮できます。 |
| 麻酔侵襲が少ない | 独自の麻酔法により、麻酔薬の量を通常の半分に削減し、身体への負担を軽減します。 |
| 手術創が小さい | 小さな傷から病変のみを取り除く技術により、傷跡が目立ちにくく、治りが早くなります。 |
| 手術範囲が少ない | 必要最小限の範囲のみを処置することで、肛門の機能を守りながら根治を目指します。 |
当院の低侵襲手術技術
当院では、以下の7つの技術を組み合わせることで、低侵襲手術を実現しています。
1. CO2レーザーメス
組織損傷が少なく、出血量が少ない特性を持ちます。複雑な病変に対しても容易に対応できるため、手術時間が短くできます。
2. 痔核郭清とアンダーマイニング技術
手術創を小さくでき、術後の腫れや痛みが少なく、根治性も高まります。
3. 仙骨硬膜外麻酔ボーラス注入法
麻酔薬の量を少なくでき、また麻酔の立ち上がりが早く、麻酔侵襲が少なくて済みます。
4. 括約筋オーバーストレッチ
肛門括約筋の緊張を緩和し、術後の痛みが少なく、スムーズな排便ができます。
5. ドレナージ創は最後に形成
ドレナージ創の形成は、主病変を切除した後に行います。肛門の自然な皺に沿って創を形成できるため、良好な創傷治癒が得られ、術後の痛みも少なくなります。
6. 展開テープのストレッチ&リリース法
肛門の閉じている状態と開いている状態を確認しながら手術を行えるため、傷の治りが良く、術後の痛みが少なくなります。
7. 手術とジオン注射の併用
手術範囲を少なくすることができ、手術侵襲が軽減され、術後出血のリスクが大幅に軽減し、根治性も上がります。
各技術の詳細
CO2レーザーメスのメリット
レーザーメスは「出血が少なく、体への負担を抑えながら、複雑な病変にも対応できる」肛門疾患において極めて有用な手術機器です。


出血を抑えて体への負担を少なく
レーザーの光は、焦点を合わせるかどうかによって性質が変わります。
・焦点が合った光(フォーカスビーム):組織を傷つけにくく切除できる
・焦点を少しずらした光(デフォーカスビーム):止血効果が高い
この2つをうまく使い分けることで、出血を最小限に抑え、周囲の組織を傷めない安全な手術が可能です。
そのため、クランプトレーザー法による痔核切除や、痔瘻の肛門括約筋の剥離(ダブルドレナージ法)でも、ほとんど出血せずに行えます。
複雑な形の病変もきれいに切除
レーザーメスは非接触で照射するため、直接メスを病変に当てなくても、光でなぞるだけで切除ができます。
これにより、形が複雑な病変でもトレースすることで容易にかつ精密に切除手術できるのが大きな特徴です。
たとえば、
・デコボコした肛門の皮膚(スキンタグ)
・慢性的な裂肛でできた硬いしこり(見張りイボや周堤)
・肛門括約筋の間を走行する複雑な痔瘻
こうした難しい病変も、レーザーなら繊細かつ正確な手術ができます。
アンダーマイニング手技とは
痔核郭清を支えるのが、アンダーマイニング手技です。アンダーマイニングは、表皮を残したまま、その直下の皮下組織を繊細に剥離して病変(痔核)を取り除く技術であり、過分な皮膚・粘膜の切除を避けつつ、傷の治りを良好に導きます。これにより、術後の痛みや腫れが大幅に軽減され、日帰り手術が可能になります。

小さな創から皮下粘膜下層を剥離する

皮膚粘膜の下にある痔核を取り除く
一般的な痔核手術では表皮ごと痔核病変を取り除くため、切除範囲が広くなりやすく、肛門の開閉機能を損なうリスクがあります。一方、痔核郭清は表皮を温存できるため、肛門機能を守りながら根治を目指せる点が大きな特徴です。
さらにCO2レーザーメスのフォーカスビームを用いることで、組織への負担が少なく、精密な剥離操作が容易になります。これにより、「アンダーマイニング技術を最大限に活かした痔核郭清」が実現し、進行した痔核に対しても肛門機能を損なうことなく根治性を高めることができます。日帰り手術の要となる技術です。
仙骨硬膜外麻酔ボーラス注入法
仙骨硬膜腔という場所に麻酔薬を注入する方法ですが、当院では麻酔薬を圧力をかけて注入する方法(ボーラス注入法)を採用しています。麻酔の効果が早く、麻酔量も一般的な半分の量で済み、体への負担が少ない麻酔方法です。


少ない麻酔薬の量で麻酔の立ち上がりが早く、麻酔からの離脱もスムーズで、麻酔侵襲が少なくて済みます。
特徴
一般的には2%の濃度の麻酔薬を使用しますが、ボーラス注入法では1%の濃度を使用します。さらに、麻酔の効き始めが優れており、仙骨硬膜外麻酔で稀に起こる「片効き現象(麻酔の効果が片側だけに効く現象)」も起こりません。
また腰椎麻酔後に発症する頭痛(低髄圧性頭痛)も起こりません。低濃度の麻酔薬で効果も良く、体に優しく、日帰り痔手術に適切な麻酔法と考えます。当院の痔手術のすべては仙骨硬膜外麻酔ボーラス注入法で行われています。
括約筋オーバーストレッチ手技
肛門の筋肉(括約筋)の緊張を緩和し、術後の痛みが大幅に軽減され、スムーズな排便ができます。傷の治りが早くなります。


術後の痛みの原因
肛門術後に起こる痛みの主な原因は、肛門の筋肉の緊張とけいれん(攣縮)によるものです。この現象は、ストレスが起こった場所の筋肉を緊張させ体を守る反射、筋性防御反応に起因します。
肩こりやこむら返りのように、筋肉は緊張すると痛みを発し、けいれんを起こすと耐えがたい強い痛みを起こします。
オーバーストレッチの効果
下部直腸から肛門外縁のお尻に関わる筋肉まで、やさしくしっかりとオーバーストレッチ(過度に伸ばす)を行うことで、肛門の筋肉の緊張とけいれんを予防でき、術後に痛みのない排便ができます。
ドレナージ創は最後に形成
ドレナージ創の形成は、主病変を切除した後に行います。肛門の自然な皺に沿って創を形成できるため、傷の治りが良好となり、術後の痛みも軽減されます。

内痔核を切除

切除後にドレナージ創を形成
ドレナージ創とは
肛門手術では、翌日から排便が始まるため、傷が感染しないように工夫が必要です。そのため、便や肛門内の浸出液・血液などが速やかに肛門外へ排出されるように「ドレナージ創(排泄創)」を形成します。これにより、良好な傷の治りが得られ、肛門手術においては非常に重要な手技となります。
当院独自の方法
一般的な痔の手術では、このドレナージ創を先に形成し、その後に主病変を切除する方法がとられます。一方、当院では主病変の手術を終えた後、肛門が自然に閉じた際のシワに合わせてドレナージ創を形成します。
この方法により、術後の傷の治りがより良好となり、痛みも少なく、治癒後の傷跡も自然で目立ちにくくなります。
展開テープのストレッチ&リリース法
肛門の閉じている状態と開いている状態を確認しながら手術を行えるため、傷の治りが良く、術後の痛みが少なくなります。
ストレッチ


リリース


一般的な手術の課題
手術中は肛門を十分に開口させるために、肛門の左右に貼った展開テープを手術終了まで伸ばした状態で行うのが一般的です。しかし、この方法では術後の肛門の状態が想定できず、術後に歪みの皮膚(スキンタグ)を形成したりすることも少なくありません。
ストレッチ&リリース法のメリット
術中に展開テープの伸展と解除を行い、肛門が閉じた状態を想定して手術を行うことで、術後の肛門の形(美観)や肛門開閉の機能にとっても有効です。手間を惜しまず、展開テープのストレッチ&リリース法を行うことが重要と考えます。ドレナージ創の形成にとっても重要な技術です。
手術とジオン注射の併用療法
切除範囲を少なくすることができ、手術による身体への負担が軽減され、術後出血のリスクが大幅に軽減し、根治性も高まります。

痔核の根元をしばって血流を止める

内側の痔核に対してジオン注射を行う

ジオン注射後に痔核を切除
ジオン注射との併用の効果
ジオン注射は内痔核に直接注射して内痔核を縮小させる治療法です。手術と併用することにより、切除範囲は縮小して手術による負担を軽減できます。また最大の合併症である術後出血の予防に有効です。ジオン併用療法後(クランプトレーザー法)の出血の合併症はゼロです。日帰りの痔手術には必須のものと考えます。
術後の安静の考え方
術後翌日からの仕事に制限をしない

術後の安静についての考え方も以前とは大きく変化しています。消化器外科、整形外科、脳神経外科など、多くの診療科では早くから起き上がって動くこと(早期離床)が積極的に行われています。肛門外科も同様です。
日常生活を通常通りに行うことがリハビリとなり、良好な術後経過を導きます。当院では肉体労働を含め、翌日からの仕事に制限をしていません。
なぜ安静にしなくてよいのか
従来の手術では、術後の痛みや出血のリスクのため安静が必要とされてきました。しかし、当院の低侵襲手術では、傷が小さく、組織の損傷が少ないため、これらのリスクを大幅に軽減しています。
そのため、翌日から普段通りの生活や肉体労働を含め、仕事を行って構いません。生活リズムを崩さず動くことが、術後経過を良好なものとします。
よくある質問
なぜ日帰り手術が可能なのですか?
当院では、CO2レーザーメス、痔核郭清とアンダーマイニング技術、独自の麻酔法など、複数の低侵襲技術を組み合わせることで、身体への負担を最小限に抑えた手術を実現しています。これにより、重度の症状も含めて日帰り手術が可能となっています。
低侵襲手術は痛くないのですか?
手術中は麻酔を行うため、痛みはほとんど感じません。術後も、傷が小さく組織損傷が少ないため、従来の手術と比較して痛みは大幅に軽減されています。
翌日から本当に仕事ができますか?
はい、可能です。当院で手術を受けられた患者様の99.7%が、翌日から仕事復帰を実現しています。デスクワークはもちろん、体力仕事、ダンサー、タクシー運転手など、職種を問わず翌日からの就労が可能です。
低侵襲手術でも重度の痔に対応できますか?
はい、可能です。当院の低侵襲技術は、嵌頓痔核や複雑痔ろうなど、一般的には入院が必要とされる重度の症例にも対応できます。CO2レーザーメスの特性により、複雑な病変にも容易に対応できるためです。
麻酔は安全ですか?
当院で採用している仙骨硬膜外麻酔ボーラス注入法は、麻酔薬の量を通常の半分に削減でき、体への負担が少ない麻酔方法です。また、腰椎麻酔後に発症する頭痛(低髄圧性頭痛)も起こりません。低濃度の麻酔薬で効果も良く、体に優しく、日帰り痔手術に適切な麻酔法です。
八王子クリニック新宿では、新宿駅西口から徒歩3分の好立地で、土曜診療も実施しています。低侵襲な日帰り手術をご希望の方は、お気軽にご相談ください。