当院の痔治療における特徴
- 重度の痔核や複雑痔ろうも日帰り手術で対応可能
- 独自開発のクランプトレーザー法により翌日からの仕事復帰を実現
- 27年間累計271,296症例の豊富な実績に基づく確かな診断技術
痔の主な種類と発生メカニズム

肛門周辺に生じる疾患は、大きく「いぼ痔(痔核)」「きれ痔(裂肛)」「痔ろう」の3つに分けられます。これらはそれぞれ発生原因や症状、治療方法が異なるため、正確な診断が治療の第一歩となります。
痔は日本人の3人に1人が経験するといわれるほど身近な疾患です。しかし受診をためらう方が多く、症状が進行してから来院されるケースも少なくありません。早期に適切な治療を受けることで、症状の改善だけでなく生活の質の向上にもつながります。
いぼ痔(痔核)とは
肛門周辺の血管が集まった部分(肛門クッション)がうっ血して膨らんだ状態を指します。直腸と肛門の境界である歯状線より内側にできるものを内痔核、外側にできるものを外痔核と呼びます。排便時のいきみや長時間の座位、立位によって肛門部に負担がかかることで発症します。
きれ痔(裂肛)とは
肛門の皮膚が裂けた状態です。硬い便の通過や下痢によって肛門上皮が傷つくことで生じます。女性に多く見られ、便秘や冷え性の方に発症しやすい傾向があります。
繰り返すことで傷が深くなり、慢性化すると肛門が狭くなる肛門狭窄を引き起こすことがあります。肛門狭窄が進行すると排便そのものが困難になるため、早期の治療が重要です。
痔ろうとは
肛門内部と皮膚表面をつなぐトンネルのような管(瘻管)ができた状態です。直腸と肛門のつなぎ目にある歯状線付近の小さなくぼみから細菌が侵入し、肛門周囲膿瘍を起こした後、膿の排出経路として瘻管が形成されます。
いぼ痔(痔核)の症状と進行度
内痔核
内痔核1度
出血の程度は個人差がありますが、痔核の脱出はありません。痛みの症状は軽度でほとんどないため、気づかないことも多い段階です。この時点では、薬による治療を行うことで、進行を防ぐことが可能です。

内痔核2度
排便時に痔核が脱出しますが、排便後は自然に元の位置に戻ります。軽中度の痛みを伴い、出血に加えて脱出による違和感を自覚するようになります。

内痔核3度(早期)
排便時に脱出した痔核が自然には戻らず、押し込めば容易に戻せる段階です。軽度から中度の痛みがあり、出血の程度は様々です。脱出による不快感が日常的に続くようになります。この段階ではジオン注射による治療が有効です。

内痔核3度(後期)
排便時に脱出した痔核を戻すのに苦労するようになります。軽度から中度の痛みがあり、出血の程度は様々です。脱出した痔核を戻すのに時間がかかり、日常生活での不快感が増します。手術とジオン注射の併用療法を検討します。

内痔核4度
痔核が常に脱出した状態で、押し込んでも戻らなくなります。痛みは軽度でほとんどない場合もあります。出血は個人差があり、軽度の出血が起こることもあります。粘液が滲み出て下着が汚れることも特徴です。
手術とジオン注射の併用療法による治療が必要です。脱出した痔核が常にある状態は、生活の質を著しく低下させます。

嵌頓痔核
脱出した痔核が肛門で締め付けられ、戻らなくなった状態を嵌頓痔核と呼びます。痔核が急激に腫れた状態で、耐えられないほどの激しい痛みを生じます。出血の程度は様々ですが、痔核は脱出して腫脹したままとなります。
締め付けにより血流が悪くなり、痔核が腫れて強い痛みに加えて腫れや出血を伴うことがあります。速やかに手術を行い、ジオン注射の併用療法による治療が必要です。

外痔核
肛門の外側にできる痔核で、血栓性外痔核と肛門皮垂(スキンタグ)の2つに分類されます。
血栓性外痔核
肛門周囲の静脈に血栓(血の塊)ができることで急激に腫れ、痛みを伴います。多くの場合、排便時の強いいきみや長時間の座位などがきっかけとなり、突然発症します。血栓性外痔核は薬による治療で改善することも多いですが、痛みが強い場合には血栓を除去する手術を行うこともあります。

肛門皮垂(スキンタグ)
肛門外側の皮膚がたるんで残った状態で、いぼ痔(痔核)やきれ痔(裂肛)を繰り返すことで生じます。病気ではないため多くの施設では治療不要と診断されますが、見た目や、排便後の拭き取りが困難で不快感があるなど、患者様の生活の質を低下させることがあります。

中間痔核
歯状線をまたいで内側と外側の両方に広がる痔核で、「肛門管内外痔核」とも呼ばれています。内痔核と外痔核の両方の特徴を併せ持つため、症状の出方が複雑になりやすい傾向があります。
中間痔核1度
痔核の脱出はみられません。痛みや出血の程度は患者様によって異なります。この段階では薬による保存的治療で改善が期待できます。適切な治療と生活習慣の見直しにより、症状の進行を抑えることが可能です。

中間痔核2度
この段階では、痔核が脱出するようになります。痛みや出血の程度は様々です。脱出により日常生活に支障をきたすことがあるため、手術による治療を検討します。

いぼ痔(痔核)の治療方法
保存的治療(薬物療法)
1度から2度の内痔核や、軽度の外痔核については、軟膏や坐薬による保存的治療で症状の改善が見込めます。炎症を抑え、出血を軽減する効果が期待できます。
保存的治療と並行して、排便習慣の改善、食生活の見直し、適度な運動など生活習慣の調整も重要です。便秘や下痢を避け、規則正しい排便リズムを作ることが再発予防につながります。
ジオン注射(ALTA療法)
2度から3度の内痔核に対して有効な治療法です。痔核に硬化剤を注入することで、痔核を縮小させ固定します。切らずに治療できるため体への負担が少なく、日帰りで治療が可能です。
ただし4度の内痔核や外痔核には効果が限定的です。当院では患者様の希望や症状に応じて、手術との併用も検討します。
痔核根治手術
3度から4度の内痔核、症状の強い外痔核や中間痔核には手術による治療を検討します。当院では独自に開発したクランプトレーザー法を採用しており、従来であれば入院が必要とされた重度の症状でも日帰り手術が可能です。
きれ痔(裂肛)の症状と進行度
きれ痔(裂肛)は急性期と慢性期で症状が大きく異なります。進行度によって治療方法も変わるため、正確な診断が必要です。
急性裂肛
一時的な傷で、排便時に紙に少量の血がつく程度の出血と、排便時の痛みが特徴です。硬い便や下痢が原因で生じることが多く、適切な治療を行えば比較的早期に治癒します。
この段階であれば軟膏による保存的治療と、便通の改善で治癒が期待できます。便秘を避け、排便時に強くいきまないことが重要です。
慢性裂肛の進行段階
きれ痔(裂肛)を繰り返すと傷が深くなり、以下のように進行していきます。
裂肛早期
排便時に紙に血がつく程度の出血と痛みがあります。この段階では薬物治療で改善が見込めます。

裂肛中期
繰り返す炎症により肛門が狭くなり始め、排便後も痛みが持続するようになります。薬物治療で効果が得られない場合は手術を検討します。

裂肛後期
肛門狭窄による排便困難が顕著になり、排便時と排便後の痛みが強くなります。この段階では手術による治療が必要です。

裂肛晩期
肛門狭窄が高度に進行し、通常の排便が極めて困難になります。痛みの恐怖から食事を控えるようになるなど、生活の質が著しく低下します。早急な手術による治療が必要です。

きれ痔(裂肛)の治療方法
保存的治療
急性期や慢性期の初期段階では、軟膏治療と排便習慣の改善が基本となります。肛門の血流を改善する軟膏や、痛みを和らげる軟膏を使用します。
裂肛根治手術(LV&SOS法)
慢性化して肛門狭窄が生じている場合や、周囲に瘢痕組織ができている場合には、手術による治療が必要です。
当院ではLV&SOS法という独自の術式を採用しています。従来の手術と比較して、肛門機能への影響が少なく、再発率も極めて低い術式です。術後の痛みも少なく、翌日からの仕事復帰が可能です。
肛門周囲膿瘍・痔ろうについて
歯状線付近の小さなくぼみ(肛門陰窩)から細菌が侵入すると、肛門周囲に膿が溜まる「肛門周囲膿瘍」を発症します。
膿が外へ排出される際に肛門内部と皮膚表面をつなぐ管(瘻管)が形成され、これが「痔ろう」となります。痔ろうは自然に治ることがなく、放置すると瘻管が複雑化するため、根本的な治療が必要です。
肛門周囲膿瘍の進行
初期感染
直腸と肛門の接合部分(肛門陰窩)で細菌感染が始まった段階です。早期であれば薬による治療で改善できることがあります。

膿瘍形成
細菌感染が広がり肛門周囲膿瘍となります。膿瘍が肛門外に排膿されると痔ろうとなります。薬物治療で効果がない場合は手術による治療が必要です。放置すると瘻管が形成され、慢性化するリスクがあります。

痔ろうの種類
皮下粘膜下痔ろう
皮膚表面の浅い部分を通る痔ろうです。括約筋を通っていないため、比較的治療しやすいタイプといえます。痛みや出血の程度は患者様によって異なります。開放手術により根治性の高い治療が可能です。肛門の機能への影響がほとんどなく、術後の経過も良好なケースが多くみられます。

筋間痔ろう
肛門括約筋の間を通る痔ろうです。痔ろうが括約筋の間を通るため、発生場所によって治療の難易度が変わります。痛みや出血の程度は様々です。ダブルドレナージ法などの括約筋温存手術を用いることで、括約筋を温存しつつ根治性の高い治療を提供しています。

高位(深部)痔ろう
括約筋の深部を通る痔ろうで、痔ろうが直腸下に達します。痛みや出血の程度は患者様によって異なります。括約筋温存手術により、肛門機能を保ちながら根治性の高い治療を行います。

複雑痔ろう
複数の瘻管が存在したり、瘻管が複雑に枝分かれしている状態です。CO₂レーザーメスを活用した低侵襲な治療により、体への負担を最小限に抑えながら根治を目指します。
痔ろうの治療方法
瘻管開放術(Lay open法)
皮下粘膜下痔ろうに対して行う標準的な手術です。瘻管を皮膚側から切開し、トンネル状の通路を開放して感染源を除去します。
ダブルドレナージ法
筋間痔ろうや高位痔ろうに対して行う当院独自の術式です。瘻管開放術の根治性と、瘻管くり抜き法の括約筋温存を両立した術式で、肛門機能への影響が少なく、一般的なくり抜き法に比べ、ドレナージが良好で根治性が高いことが特徴です。
シートン法
複雑化した瘻管があり、排膿経路(ドレナージ)を複数箇所設置する場合や、長期的にドレナージする必要がある場合に使用します。瘻管に専用のゴム製の器械(シートン)を装着し、持続的なドレナージを確保します。ダブルドレナージ法と併用することで、複雑痔ろうに対しても日帰り手術での対応が可能となります。
よくある質問
痔かどうか自分で判断できますか?
排便時の出血や痛み、脱出といった症状があれば痔の可能性がありますが、大腸がんなど他の疾患でも同様の症状が現れることがあります。
特に40歳以上の方で出血がある場合は、大腸がんの可能性も考慮する必要があります。自己判断せず、専門医による診察を受けることをお勧めします。
治療方法はどのように決まりますか?
診察で痔の種類や進行度を確認した上で、患者様の症状、生活環境、ご希望を踏まえて治療方針を決定します。必ずしも手術が必要なわけではなく、保存療法で改善が見込める場合はそちらを優先してご提案します。患者様が早期に症状を解決したい場合や、保存療法で効果が得られない場合に手術を検討します。
痔は放置するとどうなりますか?
いぼ痔(痔核)は進行すると常に脱出した状態となり、嵌頓痔核として激しい痛みを生じることがあります。きれ痔(裂肛)は肛門狭窄を引き起こして排便困難になり、最終的には食事を控えるほどの状態になることもあります。
痔ろうについては自然治癒することがなく、放置すると瘻管が複雑化して治療が難しくなります。症状に気づいたら早めの受診をお勧めします。
手術後の通院回数はどのくらいですか?
標準的には手術翌日、1週間後、2週間後(手術から約3週間後)の計3回の通院で治療が完了します。症状や経過によって多少前後することがありますが、治療期間は3〜5週間程度です。一般的な治療と比較して通院回数が少なく、治療期間も短いことが特徴です。