キレ痔(裂肛)とは
キレ痔(裂肛)は、肛門の皮膚や粘膜が裂けた状態です。排便のたびに鋭い痛みが走り、トイレットペーパーに血がつく——そんな症状でお悩みの方は少なくありません。
最初は浅い傷(急性裂肛)であることがほとんどで、排便習慣の改善や外用薬で回復するケースが多くあります。ただし、硬い便などが繰り返しあたることで傷が深くなると、慢性裂肛へと進行します。
慢性化すると、傷の縁に「周堤(しゅうてい)」と呼ばれる硬く盛り上がった組織が形成されます。これが自然治癒を妨げ、肛門が徐々に狭くなる「肛門狭窄」へとつながることがあります。
裂肛を放置するとどうなるか
裂肛が慢性化すると、次のような状態に進行します。
- 排便後も長時間、痛みが続くようになる
- 肛門が狭くなり、便が細くなる
- 痛みへの恐怖から食事を控えるようになる
- 一日中痛みが続き、日常生活に支障が出る
「何年も薬を続けているのに良くならない」「トイレが怖くて食欲が落ちた」という方は、慢性裂肛が進行している可能性があります。この段階では薬だけでの根本的な改善は難しく、手術が選択肢になります。
女性に裂肛が多い理由
裂肛は、便秘や硬便が主な発症原因です。女性は冷えやダイエットの影響で便が硬くなりやすく、裂肛を起こしやすい傾向があります。また、排便時に強くいきむ習慣がある方も注意が必要です。
急性裂肛と慢性裂肛の違い
| 種類 | 状態 | 主な治療方針 |
|---|---|---|
| 急性裂肛(早期) | 浅い傷。排便時の出血・痛みが中心 | 外用薬・排便コントロール |
| 慢性裂肛(中期) | 周堤が形成され、肛門が狭くなってきた状態 | 薬で改善しない場合は手術を検討 |
| 慢性裂肛(後期〜晩期) | 排便困難・耐えがたい痛み・食事を回避する状態 | 手術での根治治療 |
一般的に裂肛の約8割は保存療法(薬・排便コントロール)で改善するとされています。ただし慢性化が進むにつれて薬の効果は限定的になります。「長年薬を続けているが改善しない」という方は、一度専門医にご相談ください。
当院の裂肛手術:LV&SOS法とは
当院では、裂肛の根治手術としてLV&SOS法(レーザー蒸散+括約筋過伸展法)を第一選択としています。
LV&SOS法は、裂肛の根本原因である「周堤の形成」と「肛門狭窄」の2つを同時に改善できる低侵襲手術です。
手術の流れ
1. CO₂レーザーメスで周堤を正確に蒸散(取り除く)
必要に応じて見張りいぼをレーザーで切除

2. 括約筋を傷つけることなく、やさしく拡張(過伸展)
手術時間は約10分程度。麻酔は2種類(仙骨硬膜外麻酔+静脈麻酔)を組み合わせており、眠っている間に終わります。術後はご自身の足で歩いて帰宅できます。

CO₂レーザーを使う理由
一般的な裂肛手術では、電気メスによる「焼灼(熱で組織を焼き固める方法)」が用いられます。当院では、組織への熱影響をより抑えた方法として、CO₂レーザーによる「蒸散(病変部を気化させて取り除く方法)」を採用しています。
蒸散は周囲組織へのダメージが少なく、術後の回復が早いのが特徴です。病変部だけを精密に取り除くことで、繊細な治療が可能になります。
他の術式との比較
| 手術法 | 肛門狭窄への対応 | 難治創への対応 | 手術侵襲 |
|---|---|---|---|
| SSG法 | なし | あり | 大 |
| LSIS法 | あり | なし | 中 |
| LV&SOS法(当院) | あり | あり | 小 |
SSG法は難治創(治りにくい傷)に強い一方で、身体への負担が大きくなります。LSIS法は肛門狭窄に有効ですが、括約筋を切る手術のため、将来的な肛門機能への影響が残る可能性があります。
LV&SOS法は、2つの課題にどちらも対応しながら、手術侵襲を小さく抑えられる手術です。当院がこの術式を第一選択としているのは、根治性・安全性・術後の快適さを両立できると考えているからです。
術後の生活について
仕事

翌日から復帰可能(肉体労働も含む)
飲酒と香辛料

2週間は控える
運動

2週間は控える
入浴:術後1週間はシャワーのみ
通院回数:翌日・1週間後・3週間後の計3回付き添いの方は不要です。
手術当日も公共交通機関でご来院いただけます。
こんな方はご相談ください
- 排便のたびに強い痛みが続いている
- 薬を長期間使い続けているが改善しない
- 便が細くなった、排便しにくくなってきた
- 痛みが怖くてトイレを我慢してしまっている
- 他院で手術が必要と言われたが、入院が難しい
- 仕事の都合で長期休養が取れない
「何年も痛みと付き合ってきた」「手術が怖くて受診をためらっていた」という方が多く来院されています。初診ではまず現在の状態を丁寧に確認し、手術以外の選択肢も含めてご説明します。相談だけでも構いません。
※すべての裂肛に手術が必要なわけではありません。症状の程度によっては、薬や排便コントロールで改善できるケースもあります。手術の必要性は、診察のうえで判断いたします。
治療の流れ
初診から手術まで

オンライン・LINE・お電話にて受付
完全個室での問診、医師による診察
手術を希望される方は採血などを実施
来院 → 準備 → 手術(約10分) → 安静 → 帰宅
翌日・1週間後・3週間後の計3回
手術当日
午前の手術

8:00 来院
準備
点滴や麻酔の準備を行います。
手術
10分前後で手術が終了します。
安静
ベッドでゆっくり休憩していただきます。
12:00前後 帰宅
午後の手術

12:30 来院
準備
点滴や麻酔の準備を行います。
手術
10分前後で手術が終了します。
安静
ベッドでゆっくり休憩していただきます。
16:00前後 帰宅
手術費用の目安
| 診療区分 | 費用の目安 |
|---|---|
| 保険診療(健康保険3割負担の場合) | 40,000〜50,000円程度 |
| 自由診療 | 380,000円〜 |
※費用は症状・手術内容によって異なります。詳しくは診察時にご説明します。
八王子クリニックについて
当院はJR八王子駅から徒歩6分。中央線・横浜線・八高線が乗り入れる八王子駅は交通の便が良く、東京都内だけでなく神奈川・山梨・埼玉など近隣県からも多くの患者さんにご来院いただいています。
肛門外科の手術件数は本院単体で年間930件(2024年)、本院・新宿院合計で年間約1,750件。これまでの累計手術実績は30,000例以上にのぼります。
「仕事や子育てで忙しい現役世代に、生活を止めずに治療できること」を大切にしています。キレ痔でお悩みの方は、まずお気軽にご相談ください。