きれ痔の手術について
きれ痔の約8割は、排便のコントロールによって改善します。
しかし、硬い便などをきっかけに生じた浅い裂肛(急性裂肛)を繰り返すと、慢性裂肛(周堤形成)へと進行します。さらに裂け目が深くなり、粘膜層から肛門括約筋にまで達すると、肛門潰瘍となり自然治癒は困難になります。
この段階では、排便後も痛みが続いたり、排便への恐怖から食事を控えるようになり、日常生活に大きな支障をきたします。 代表的な手術方法と、当院で行っているレーザーによる治療について、以下にご説明します。
きれ痔の手術にはいくつか種類があります
きれ痔が慢性化して「痛みが続く」「便が細い」「出血が治らない」などの症状がある場合、根本治療として手術が必要になることがあります。 代表的な手術は次の3つです。
| 手 術 法 | SSG | LSIS | LV&SOS |
| 肛門狭窄 に対応 |
な し | あ り | あ り |
| 難治創に 対応 |
あ り | な し | あ り |
| 手術侵襲 | 大 | 中 | 小 |
- SSG法は難治創に強いが手術侵襲が大きい。
- LSIS法は肛門狭窄に有効だが括約筋を切るリスクがある。将来的に肛門の機能に少し心配が残る。
- LV&SOS法は、両方の問題(難治創+肛門狭窄)に対応でき、手術侵襲が小さい。
こうした理由から、当院では安全性・根治性・術後の快適さを両立したLV&SOS法を第一選択としています。
LV&SOS法(レーザー蒸散+括約筋過伸展法)とは
LV&SOS法は、きれ痔の根本原因となる
① 周堤(硬く盛り上がった縁)の除去
② 肛門狭窄(開きにくさ)
の改善の2つを同時に治療できる低侵襲手術です。
- CO₂レーザーメスで周堤を正確に蒸散
- 括約筋を傷つけず、やさしく拡張(過伸展)
- 手術時間は短く、日帰り手術が可能
- 術後の痛みはほぼ0〜わずか
きれ痔の手術は、一般的には電気メスを用いた焼灼によって行われています。
当院ではこれに加え、より組織への熱影響を抑えた方法として、CO₂レーザーによる蒸散手術を採用しています。
CO₂レーザーは病変部を精密に蒸散させることができ、周囲組織へのダメージを最小限に抑えながら、繊細な治療を行うことが可能です。
下記の項目をご参考ください。
焼灼と蒸散の違い
手術における「焼灼(しょうしゃく)」と「蒸散(じょうさん)」は、どちらも熱を用いて組織を処理する方法ですが、目的と組織のなりゆきに大きな違いがあります。
☆焼灼は「熱で焼き固める(凝固・壊死)」、蒸散は「熱で飛ばす(気化・消失)」技術です。
1. 焼灼(Ablation)
熱や電気を用いて、組織を熱凝固(タンパク質を熱で固める)させて死滅させる。
特徴
組織をその場に残したまま(凝固壊死させて)止血・閉塞する。
主な用途
- 下肢静脈瘤: 血管内焼灼術。レーザー等で血管を内側から焼きつぶす。
- 肝癌: ラジオ波焼灼療法(RFA)。針で熱を加えて癌細胞を死滅させる。
- 止血: 電気メスで出血点を焼く。
術後の状態
組織が死滅して残るため、数週間かけて体内に吸収される。
2. 蒸散(Vaporization)
レーザーなどを高出力で照射し、組織の水分を瞬時に沸騰・気化(蒸発)させて、その場から消失させる手法です。
特徴
組織を熱で飛ばしてしまう(焼いて飛ばす)。
主な用途
- 婦人科(子宮頸部異形成): レーザー蒸散術。病変を気化させ、切除せずに治す。
- 泌尿器科(前立腺肥大症): ツリウムレーザー前立腺蒸散術(Thu-VAP)。病変を蒸発させ、道を確保する。
- 皮膚科: 炭酸ガスレーザー(ホクロ・イボ治療)。
術後の状態
組織そのものがなくなるため、一時的に潰瘍のようになるが、その後きれいに上皮化(再生)する。
焼灼と蒸散の比較表
| 比較項目 | 焼灼 (Ablation) | 蒸散 (Vaporization) |
| 原理 | 熱で焼いて固める(壊死) | 熱で気化させる(消失) |
| 組織の行方 | 組織がその場に残る(後に吸収) | 組織が煙となって消える |
| 主な効果 | 止血、腫瘍死滅、血管閉塞 | 病変部(凸)の除去・平坦化 |
| メリット | 確実な止血、大きな病変の死滅 | 組織の再生が早い |
| デメリット | 組織が残るため治癒に時間がかかる | 病理組織検査ができない |
| 主な適用 | 組織が残るため治癒に時間がかかる | 病理組織検査ができない |
なぜきれ痔は治りにくくなるのか(基本病態)
● 難治創(治りにくい傷)
きれ痔が「裂ける ↔︎ 治る」を繰り返すと、傷の周囲が硬く盛り上がり、 **堤防のような“周堤”**が形成されます。 これが傷の治癒を妨げ、慢性的な痛みの原因になります。
● 肛門狭窄(肛門が十分に開かない)
- 括約筋が硬く緊張 → 排便時に激痛
- 肛門が開きにくくなる → 便が細くなる
- 排便が怖くなり、食事を控えてしまうことも
きれ痔の主な症状
- 排便時の痛み(便が傷をこする)
- 排便後もしばらく続く痛み(括約筋の痙攣)
- トイレットペーパーにつく程度の出血
- 便が細くなる
- 排便恐怖から食事量が減る
進行すると、一日中痛みが続き、生活に大きな支障が出ることもあります。
まとめ:LV&SOS法が選ばれる理由
- 難治創にも肛門狭窄にも対応できる唯一の低侵襲手術
- CO₂レーザーで痛みと組織ダメージを最小限に
- 括約筋を切らず機能温存
- 日帰りで根治を目指せる
手術写真
50代男性 裂肛
20代女性 裂肛
40代男性 裂肛
30代女性 痔核・裂肛
初 診
| 予 約 | オンライン、LINE、電話 |
| 受 付 | 問診票の記入 |
| 診 察 | 医師の診察 |
| 検 査 | 手術希望の方は 術前検査 |
午 前 の 手 術
| 8:00 | 来 院 |
| ▼ | 準 備 |
| ▼ | 手 術 |
| ▼ | 安 静 |
| 12:00前後 | 帰 宅 |
午 後 の 手 術
| 12:30 | 来 院 |
| ▼ | 準 備 |
| ▼ | 手 術 |
| ▼ | 安 静 |
| 16:00前後 | 帰 宅 |
術 後 の 通 院
| 翌 日 |
| 1週間後 |
| 3週間後 |
手術後の生活
一般的な痔の手術では、手術後の痛みや出血のリスクのため安静が必要とされてきましたが、当院で行われる低侵襲手術では翌日から普段通りの生活・仕事(肉体労働も可)行って構いません。生活リズムを崩さず動くことが術後経過を良好なものとします。
| 仕事は翌日から肉体労働も含めて行って構いません。 |
| 飲酒と香辛料などの刺激物は2週間避けていただきます。 |
| 運動は2週間避けてください。 |



