LV&SOS法(レーザー蒸散+括約筋過伸展法)
LV&SOS法とは、CO₂レーザーメスを用いて裂肛部の「周堤(しゅうてい)」を蒸散(レーザーで除去)した後、肛門括約筋を用手的に過伸展(やさしく拡張)する手術方法です。低侵襲手術で日帰り手術が可能です。
※周堤とはきれ痔の周り(縁)が堤防のように立ち上がった状態を言う。


きれ痔の病態と症状
きれ痔は「裂ける ↔︎ 治る」を繰り返すことで難治創(治りにくい傷)や肛門狭窄(肛門が十分に開かない状態)が引き起こされることが基本病態です。
症 状 | |
---|---|
1 | 排便時の一時的な痛み →便が傷に触れるため |
2 | 排便後も長時間持続する痛み →肛門括約筋が攣縮するため |
3 | 排便時の出血(紙につく程度) →きれ痔の傷からの出血 |
4 | 便が細くなる →筋肉がかたくなり肛門が開きにくくなる |
5 | 排便への恐怖から食事を控える(食事回避) →排便後に肛門括約筋が痙攣し起こる強烈な痛みが持続するため |
☆きれ痔が進行すると痛みが一日中続き日常生活に「大きな支障」をきたします。
排便を回避するため食事を取らなくなる方もいます。1日中排便の事ばかり考えてしまいます。(涙.涙.涙)。
裂肛手術の種類
手術法 | SSG※1 | LSIS※2 | LV&SOS |
肛門狭窄 に対応 |
なし | あり | あり |
難治創に 対応 |
あり | なし | あり |
手術侵襲 | 大 | 中 | 小 |
※1. SSG(スライディング・スキン・グラフト)法は皮膚の移植(皮膚をスライド)によって難治創を閉鎖しますが、手術侵襲も大きいため、当院では肛門の手術既往があり肛門皮膚が不足している症例に限って行います。
※2. 内肛門括約筋切開法(LSIS)は、括約筋を切開するため将来的な肛門機能低下のリスクがあるため、原則当院では行っていません。
LV&SOS法の特徴と利点
難治創に対して
難治創の治りにくさは、周堤の存在が主な原因です。LV&SOS法では、CO₂レーザーメスを用いて周堤を正確(非接触性に周堤をトレースするように)に蒸散.除去します。
レーザーメスは複雑な形状にも対応可能しやすく組織へのダメージが軽微のため治癒が早く術後の痛みは0からわずかです。
肛門狭窄に対して
LV&SOS法では、肛門狭窄に対し、下部直腸から肛門外縁までを愛護的に拡張する「過伸展法(オーバーストレッチ)」を行います。 オーバーストレッチ法は、括約筋を切らずに安全かつ効果的な拡張が可能なため、より身体に優しい治療法といえます。



まとめ
LV & SOS法は、レーザーによる正確な周堤除去と、括約筋の安全な拡張を組み合わせることで、きれ痔の「難治創=治りにくい傷」と「肛門狭窄=狭くなった肛門」という2つの問題を同時に解決します。
低侵襲かつ再発予防効果の高い手術法です。日帰り手術で行えます。
初 診
予 約 | オンライン、LINE、電話 |
受 付 | 問診票の記入 |
診 察 | 医師の診察 |
検 査 | 手術希望の方は 術前検査 |
午 前 の 手 術
8:00 | 来 院 |
▼ | 準 備 |
▼ | 手 術 |
▼ | 安 静 |
12:00前後 | 帰 宅 |
午 後 の 手 術
12:30 | 来 院 |
▼ | 準 備 |
▼ | 手 術 |
▼ | 安 静 |
16:00前後 | 帰 宅 |
術 後 の 通 院
翌 日 | 通 院 |
1週間後 | 通 院 |
3週間後 | 通 院 |
5週間後 | 痔瘻の方のみ |
手術後の生活
仕事は翌日から肉体労働も含めて行って構いません。 |
飲酒と香辛料などの刺激物は2週間避けていただきます。 |
運動は2週間避けてください。 |