院長コラム

院長コラム第8回

クランプトレーザー法と痔核手術の本質

― 痔核郭清とCO2レーザーメスの重要性 ―

■ 痔核の本質理解

痔核は、単に皮膚や粘膜が腫れた「できもの」ではありません。

その本質は、皮膚粘膜の下にある静脈(※静脈叢:細い静脈が集まった構造)がうっ血し、静脈瘤として変化した状態です。

したがって、腫れている部分を一塊として大きく切除することが本来の治療ではありません。

本当に切除すべきものは、
"皮膚粘膜下層にある「静脈瘤=痔核」と、腫れを繰り返すことで生じた「余剰な皮膚・粘膜」"なのです。

■ 肛門という臓器の特性

肛門は、単なる管状構造ではなく、 "開閉運動を有する「動的臓器」"です。

この開閉運動そのものが、術後の排液(ドレナージ)機能として働くため、従来のように感染予防のために創を大きく開放するという考え方は、必ずしも合理的ではありません。

むしろ重要なのは、手術創は小さく保ち、早期に創傷治癒が促進される状態をつくることです。

■ クランプトレーザー法の核心:痔核郭清

クランプトレーザー法では"「痔核郭清」"が手術の核心を担う重要な概念となります。

すなわち、

• 皮膚粘膜の切除は最小限にとどめる
• その下層に存在する痔核病変を的確に除去する

という手術アプローチです。

従来、「痔核郭清」は補助的な操作として扱われることが多く、
主役となることはほとんどありませんでした。
そのため、この痔核郭清の言葉自体に馴染みのない外科医も少なくありません。

しかしクランプトレーザー法においては、
この痔核郭清こそが低侵襲、痛みの緩和、根治性、機能温存を担保する主役の手技です。

■ 痔核郭清がもたらす臨床的価値

痔核郭清により、

• 根治性の向上
• 肛門機能の温存
• 術後疼痛の軽減

が同時に実現されます。

これは「肛門の手術は、根治性と術後感染の予防より大きく切ることで治す」という従来の発想とは大きく異なる。

機能温存型・低侵襲手術の本質です。

■ CO2レーザーメスの役割

この精密な痔核郭清を可能にしたのが、
CO2レーザーメスによる蒸散切除です。

CO2レーザーは、

• 周囲組織への熱損傷が少ない(電気メスの1/1000)
• 非接触性に切除ができるため、微細な切除操作が可能
• 出血を抑えながら切除できる

という特性を持ち、皮膚粘膜を温存しながら下層の病変のみを除去する(痔核郭清)ことを可能にします。

すなわち、
クランプトレーザー法はCO2レーザーメスの特性によって成立した術式といえます。

■ まとめ

クランプトレーザー法の本質は以下に集約されます。

• 痔核は皮膚粘膜下層の病変であるという正確な理解
• 肛門は動的臓器であり、自然なドレナージ機構を持つという再認識
• 最小限の皮膚粘膜切除と、的確な痔核郭清により肛門機能の温存、根治性、痛みの軽減を達成
• それを実現するCO2レーザーメスの活用

これらにより、
低侵襲でありながら根治性の高い、日帰り手術として完成された術式が実現されています。

文章責任 八王子クリニック 井藤尚文

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