院長コラム第12回
「一塊を切る手術」から「病変を分析して治療する手術」へ
これまでの痔核(いぼ痔)の手術では、内痔核・外痔核・その周囲の皮膚や粘膜を一つの病変として考え、まとめて切除する「結紮切除術」が標準的な治療でした。
この方法は根治性に優れた手術ですが、正常な皮膚や粘膜も一緒に切除するため、傷が大きくなり、術後の痛みや出血が起こりやすいという課題がありました。
クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、この考え方を大きく変えた新しい手術です。
痔核を一つの塊として切除するのではなく、「どの部分を切除するべきか」「どの部分は残した方がよいか」「どの部分は注射で治療できるか」を一つひとつ分析し、それぞれに最も適した治療を行います。
つまり、「一塊を切る手術」から、「病変を分析して治療する手術」へと発想そのものを変えたのです。
病変を3つに分け、それぞれに最適な治療を行います。
① 痔核切除
切除が必要な部分だけを、専用の器具で血流を止めてからCO₂レーザーで切除します。
② 痔核郭清
切除した傷口から皮膚・粘膜の下にある痔核病変だけを丁寧に取り除きます。正常な皮膚や粘膜はできるだけ温存するため、肛門本来の形や働きを守ることができます。
③ ジオン注射(ALTA療法)
下部直腸の内痔核は手術で切り取るのではなく、ジオン注射によって硬化・縮小させます。術後出血のリスクを抑えられることも大きな利点です。
この3つの治療を組み合わせることから、この術式は "「スリーパーツ法」"と呼ばれています。
また、「外科治療」と「注射治療」を組み合わせ、それぞれの長所を生かし短所を補い合うことから、ハイブリッド手術といえる新しい治療法です。
クランプトレーザー法(スリーパーツ法)の特徴
必要な部分だけを治療し、正常な皮膚や粘膜をできるだけ残すため、従来の手術より傷を小さく抑えることができます。
その結果、
- 術後の痛みが少ない
- 出血の危険性が少ない
- 傷の治りが早い
- 肛門本来の形や働きを保ちやすい
- 早い社会復帰が期待できる
といった多くのメリットがあります。
さらに、CO₂レーザーは周囲の正常組織への熱によるダメージが少ないため、傷の治りを助けることも期待できます。
日帰り手術に適した低侵襲手術
現在の外科医療では、病気はしっかり治しながら、体への負担をできるだけ少なくする「低侵襲手術」が重視されています。
クランプトレーザー法(スリーパーツ法)は、この考え方に基づいて開発された痔核手術です。
病変だけを的確に治療し、正常な組織は守る。
その結果、根治性を保ちながら痛みや出血を抑え、早く日常生活へ戻ることを目指した、新しい時代の痔核治療です。
「分析して治療する手術」へ。
それがクランプトレーザー法(スリーパーツ法 ハイブリット手術)の考え方です。
文章責任 八王子クリニック 井藤尚文

